読み物

2017/11/03 16:53

クロード・モネ Claude Monet 

フランス印象派(1840 ~ 1926)


印象派を代表するフランスの画家

1840年、パリで生まれたが、5歳の頃から少年時代の大半をノルマンディー地方のル・アーヴルで過ごした。絵がうまく、人物のカリカチュアを描いて売るほどであったが、18歳の頃、風景画家ブーダンと知り合い、戸外での油絵制作を教えられた。1859年にパリに出て、絵の勉強を始め、ピサロ、シスレー、バジール、ルノワールといった仲間と知り合った。

1865年にサロンに初入選してから、サロンへの挑戦を続け、戸外制作と筆触分割の手法を確立していったが、1869年と1870年のサロンに続けて落選の憂き目に遭った。私生活では、カミーユとの交際を始め、長男も生まれたが、父親からは援助が断たれ、経済的に苦しい時代が始まった。1870年、普仏戦争が始まり、兵役を避けてロンドンに渡った。この時、画商デュラン=リュエルと知り合い、重要な支援者を得ることとなった。パリに戻ると、その近郊アルジャントイユにアトリエを構え、セーヌ川の風景などを描いた。

1874、仲間たちと、サロンとは独立した展覧会を開催して『印象・日の出』などを出展し、これは後に第1回印象派展と呼ばれる歴史的な出来事となった。しかし、当時の社会からの評価は惨憺たるものであった。1878年まで、アルジャントゥイユで制作し、第2回・第3回印象派展に参加した。1878年、同じくセーヌ川沿いのヴェトュイユに住み、パトロンだったエルネスト・オシュデとその妻アリス・オシュデの家族との同居生活が始まった。妻カミーユを1879年に亡くし、アリスとの関係が深まっていった。他方、印象派グループは、会員間の考え方の違いが鮮明になり、解体に向かった。

次いで1881年にポワシーに移り住み、ノルマンディー地方への旅行に出ている。1883年、これもセーヌ川沿いのジヴェルニーに移り、生涯ここで暮らした。1880年代には、地中海沿岸やオランダなど、ヨーロッパ各地に制作旅行に出かけることが多かった。1886年にニューヨークでデュラン=リュエルが印象派の展覧会を開いた頃から、経済的に安定するようになった(。1890年代には、ジヴェルニーの自宅周辺の「積みわら」や「ポプラ並木」、また「ルーアン大聖堂」を描いた連作に取り組んだ。この頃には、大家としての名声が確立してきた。また、1892年、アリスを2人目の妻とした。また、日本美術愛好者の集い「Les Amis de l'Art Japonais_」(1892-1942)の会員でもあった。

1890年代、自宅に「花の庭」と、睡蓮の池のある「水の庭」を整えていったが、1898年頃から、睡蓮の池を集中的に描くようになった。1900年までの「睡蓮」第1連作は、日本風の太鼓橋を中心とした構図であったが、その後1900年代後半までの第2連作は、睡蓮の花や葉、さらに水面への反映が中心になっていき、1909年の「睡蓮」第2連作の個展に結実した。その間、ロンドンを訪れて国会議事堂の連作を手がけたり、1908年に最後の大旅行となるヴェネツィア旅行に出たりしている。

最晩年は、視力低下や家族・友人の死去といった危機に直面したが、友人クレマンソーの励ましを受けながら、白内障の手術を乗り越えて、オランジュリー美術館に収められる「睡蓮」大装飾画の制作に没頭し、86歳で最期を迎えた。


モネのカタログ・レゾネには、油彩画2000点以上が収録されている。モネたち印象派の画家たちは、ロマン派の豊かな色彩、頃―やドービニーらバルビゾン派の緻密な自然観察、クールベの写実主義と反逆精神、マネの近代性を受け継ぎ、伝統的なアカデミズム絵画の決めた主題、構図、デッサン、肉付法・陰影法に縛られない、自由な絵画を生み出した。モネは、特に戸外制作を重視し、物の固有色ではなく、日光やその反射を受けて目に映る「印象」をキャンバスに再現することを追求した。絵具をパレットで混ぜずに、素早い筆さばきでキャンバスに乗せていくことで、明るく、臨場感のある画面を作り出すことに成功した。その後の連作の時代には、光の当たったモチーフよりも、光そのものが主役の位置を占めるようになり、物の明確な形態は、光と色彩の中に溶融していった。鋭敏な観察力と感受性をもって、絶え間なく変わり続ける風景を表現したモネは、印象派を代表する画家と言われる。作品は、モネ存命中の1890年代から徐々に美術市場での評価が高まっていったが、20世紀を通じて、オークションで次々記録を塗り替える高額落札が生まれ、数十億円で落札されるに至っている。

ジヴェルニーの家に造成した庭園は、それ自体がモネの芸術作品と言われる。死後、一時荒れていたが、修復工事を経て、1980年以降、一般に公開されている。


さらに詳しい情報は以下にて

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%8D